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第12回 「フレコンによせて」 by J丸:テナー
2004/07/17
〜その1〜
『宝塚国際室内合唱コンクール』シェンヌを語る上で絶対外す事のできないキーワードの一つだろう。J丸が入団して間もないころ、指揮者はじめ幾人かがよく、「これほど素晴らしいコンクールはない!」と熱っぽく語ってくれた。ビデオも見せてくれた。その舞台には9人の無鉄砲な若者と、今よりも若干(・・・かなり)スリムな指揮者の姿がある。
これほど苦汁を飲まされ、多団に対する憧れを強くするコンクールも珍しいと思う。予選を通していただいて、本選の舞台に立っていることが不思議なくらい、さらには常連として「フレコン」に参加できるのが不思議なくらい、シェンヌの成績は・・・振るわない。でも、そこで受ける悔しい思いと、そこで出会ったすばらしい演奏への憧れに、私たちはその後2ヶ月余りの間突き動かされ、成長させてもらったのだろう・・・そして、関西コンクールにおいて、やっと花開いてきた。
さて、大きな声では言えないけれど(小さな声でちょっとだけ、自慢させてくれ!)、「フレンドシップ」の名付け親は、J丸です・・・ある日の練習終了後、団長が「今度のジョイントコンサートのネーミングについて、案を考えてきてくれましたか〜?」と言って小さな紙を配りだした。「し、しまった!」宿題を忘れてきて、とっさにその場をつくろう子どものような気分で、J丸は考えた。「友情」「フレンドシップ・・・」それにしても、余りにもありきたりだ・・・これでは、時間をかけて考えてきたような答えにはならん!・・・でも、この言葉しか浮かばない・・・そして、その紙に青いインクで「フレンドシップ
in
Vega」とあわてて書いた。役員ミーティングで話し合われた結果、コンサートの文字が加えられた。他の出演団体の代表者の方々にも受け入れられ、採用されたと聞いたときには少々戸惑った。そして、ちょっと嬉しかった・・・
このことばが湧き出でたのには、わけがあった。これは、J丸がみんなに迷惑をかけながらも合唱を続けていることとも、浅からぬ因縁がある。云わばJ丸が合唱と繋がっていく上での『原体験』とも言うべき出来事が宝塚であった・・・いや、それは、宝塚だからこそ起きた、と言うべきだろうか・・・ つづく
〜その2〜
「フレコンによせて」〜その2〜
「フレンドシップ」この言葉が湧きだしたその背景。その光景は今でも映画のワンシーンのように鮮明に甦ってくるのですが、残念ながら、何年のどの団体ということに関する記憶がぼやけてしまっています。(多分、`92年第9回のアルメニア放送合唱団か、翌年第10回のリトアニア共和国 ヤウナムジカのどちらかだと思います。)この年は台風の接近によって、関係者の方々もやきもきされた年でしょう。コンクール当日、こんなアナウンスが会場でありました。(確か、杉山先生ではなかったでしょうか・・・)「昨日の時点で、(その団体が)海の上で立ち往生しておられます。連絡がつかない状態であります。プログラムを変更してでも舞台に立っていただきたいと願っています。みなさんも、彼女らが無事、ここベガに到着できるよう祈ってください!」会場に響き渡る拍手・・・ 「はぁ〜これかぁ・・・そう言えば、レベルが高くて、それでいてアットホームな雰囲気のあるコンクールって、誰か言ってたなぁ・・演奏時間が1秒オーバーしたらペナルティー100円!なんてマジで言ってるどこかの合唱祭とはえらい違いや・・・」このときのJ丸はこの程度のことしか考えられませんでした。
プログラムは進行します。シェンヌの演奏も終わりました。それでも、その合唱団が到着したというアナウンスはありません。ほっと一息つきに外へ出た時、駅の方からやたら大柄な女性たちが駆けてきました。「あっ!間に合ったんだ・・・」ポッカ~ンとしていると、俄かに賑やかになった図書館の入り口ではお揃いのTシャツのスタッフの皆さんが手をたたいて大喜びです。集合もへったくれもなく、彼女らは館内に駆け込んで行きます。スタッフの方と握手する人や抱き合う人もいたし、一目散に入っていく人もいました。人の波が通り過ぎた後、スタッフの中には泣きながら抱き合っている人もいました。二人の男性が力強い握手を交わされた後、抱き合って、肩を叩き合って・・ひとしきり喜びを爆発させた後、その一人が両手でガッツポーズをしておられました。今から思えばあれはきっと・・・大塚先生です。気が付けばJ丸も濡れていました・・・演奏も聴かせていただきました。『魂』を具体として感じました。
これは、宝塚における伝説です。少なくともJ丸の中では。コンペティションの真髄をまざまざと見せ付けられました。
「フレンドシップ」それは、出演団体が仲良くなってともに磨き合っていく・・・でとどまらないのです。私たちは宝塚の人々(お好み焼き屋やすし屋のおっちゃん、ソバ屋のおばちゃんたちも含めて)に、実に暖かく迎えていただきました。運営に携わるスタッフの皆さん(児童合唱団の子どもたちも)のおかげで、暑い夏のかけがえのない思い出を作ってきました。彼らこそが、コンクール開催に対する情熱と友情でつながり、私たちをまさに「フレンドシップ」をもって迎えて下さっていたのです。
いよいよ、来週末は本番。コンクールの関係者の人々に「ありがとう〜!」って言いたいですね。「コンクールが隔年になっても、夏のベガの響きは、私たちで守っていくよ〜!」ってね。いつか