シェンヌの鍵穴
![]() |
![]() |
![]() |
第4回 「コンクールを終えて」 poohやん:ソプラノ 2003/12/02

終わった!星野監督じゃないけど「疲れたぁ」。このところ指揮者の偏頭痛がうつったのか、ステージの前になると頭がひどく痛む。肩もずっしり重い。2、3日前から本番前の舞台袖までその頭痛は続く。なんだろう?今までこんなことはなかったのに。団長としての気負い?連続金賞獲得へのプレッシャー?よくわからない何かがずっと頭やら肩にのしかかってくるのだ。しかし、歌い終わったあとの気持ちよさ、高揚感がそれらもろもろの何かを吹っ飛ばす。
地に足がつかなくて思い通りに歌えないことなんてざらだった。練習不足やらその他のいろんな不満が端的に演奏にあらわれていたのはまだ最近の話だ。そして、何もかわらないと自分達は思っているのに、コンクールの結果だけがシェンヌの名前をすごいものにしていった。
名前だけが先走っていく・・・でも本当はどうなんだろう。私たちはもっと自信を持ってもいいんじゃないか・・・いやいや、まだまだだめ・・・できていないところのほうが多過ぎる。謙虚さをモットーとする団の気質は弱気なためじゃない。世間で認められても自分達が納得していないだけだ。音楽にはこれで十分、などという線はない。もっともっといい演奏ができるのではないか、試行錯誤してチャレンジしてそれでもまだまだ自分達の音楽を模索しつづける。殻を破ることのなんという難しさ。簡単にできてしまう合唱団も世の中にはたくさんあるけれど、シェンヌはどうも不器用だ。
そうしてだんだんとできてきたシェンヌのカラー。私にとっては無色透明という感じがしている。その時々によって色をかえるというか、それだけ柔軟なのかもしれない。だから指揮者が求めることを次々やれそうなものなのに、できないところがシェンヌらしさなのだろう。(もちろん、らしさでくくってしまっては元も子もないのだが。)いつも思う、うさぎと亀。生まれてから20年たってやっとここまできたシェンヌだからもちろん亀だ。でもそれでいいかな、良かったんだなと今は思う。
今いる団員のほとんどが「シェンヌ冬の時代」を知らない。金賞をとってあたりまえ、なんてきっと思ってはいないと思うけど、今年の全日本での結果にはみんな驚いたと思う。出来過ぎだ。やっとここまできたか・・・と思う者、単純にうれしかったりする者、浮かれてばかりじゃいけないけれど今はしばし喜びにひたってみてもいい。そしてまた、 明日からの練習で、その思いをかみしめて次に進んでいこう。
これが終わりじゃないし、まだまだ満足しない。次々ある行事の数々をこなしていけるだけの力をつけなくては・・・すぐそこに次の演奏会が待っている。聞きに来て良かったなあと、お客様の心があったかくなるようないい演奏会にしたいね。