第5回「愛情物語」  bido:ソプラノ   2003/12/10


 最近、「愛情物語」という映画の一場面を見る機会があった。
内容は深く解らないのだが、次のような場面である。
(見たことのある方、間違いあらばご指摘下さい・・・)

 場所は敗戦後らしきアジアの荒れた街。
物憂げに歩く欧米系将校が、がれきの中に壊れかけたピアノを見つける。
少し触れると音が出るので、「チョップスティック」
(←ネコ踏んじゃったのアレンジ版らしい)を弾いていた。
するといつのまにか横に貧しき男の子が立って、じっと聞いていた。
将校は彼を膝に抱き上げ、ガムを与え、再び弾き始める。
しかし、すぐに横に座らせ、人差し指だけの単純な音階を繰り返し弾かせる。
それに合わせて将校は「チョップスティック」のメロディーを弾く。
やがて興にのった二人により、すばらしい「チョップスティック」を奏でられてゆ
く。
そしてふと気づくと周りには大勢の聴衆がいて、大喝采がおこり、
将校は男の子をぎゅっと抱きしめる・・・。

というような場面である。
おそらく映画の内容には直接関係無いのであろうが
私はその部分を見ただけで非常に感動し、涙してしまった。
音楽ってこういうもんなんだな・・・と。
私は歌うことが好きで合唱をしているのだが、
ともすればその初心を忘れがちである。
目の前に立ちはだかる難しい音符を「こなす」ことに必死で
その曲を歌う「楽しみ」ということを忘れてしまう。
そういう余裕のなさは技術を磨くことでクリア出来るのかもしれないが、
やはり、どのような状況下でも
この歌を歌いたい!、この人達と歌いたい!、この人達に聴いて欲しい!
というような内なる原動力を忘れてはいけないのではないか。
その気持ちが、人を自然に感動させるのではないかと思う。

 子どもが出てくるものに弱いせいもあるが、
チョップスティックの単純明快なメロディーに
色々考えさせられた私です。。。