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[3]耳掃除(2003/11/14 23:30:18)
確か去年の今ごろ、つまり全国コンクールの直前、どうしても「本物」が聴きたくなって「エストニアフィルハーモニー室内合唱団」の東京公演を聴きに行きました。比べるのも失礼ですが、あれはもう全くの別物。日頃授業での生徒の凄まじい歌声や、私の指揮するいくつかの合唱団の音(注:同列ではありません)しか聞いていなかった耳が、嘘のように聞こえやすくなったのです。
この「現象」は全国大会などで聞く中高生の合唱を聴いたり、一流のアマチュア合唱団の練習などを見学したあとにも起こります。もちろん、このことは多くの方が経験していることだと思いますが、CDなんかを聴いてもなかなかそうはならない。いわゆる「生」でその「空気」に触れ、時間を共有した場合にのみ起こるんですよね。
別の言い方をすると「刺激を受ける」、という風になるのでしょうか。ある曲に取り組む場合、いくら事前に楽譜を読み込んで、多角的に音楽を捉える努力をしていても、どうしても光が当たらない影の部分が残ってしまう。そこでちょっと質の違う音楽を聴くと、それまで見えなかったものがどんどん見えてくる。それは自然と手の振りや要求の言葉となって現れるんです。ただし有効期間は短いですが。
今年もこの時期、シャンテクリアやスウェーデン放送合唱団などの本物の音に触れるチャンスはあるのですが、残念ながら予定があって聴きにいけませんでした。同じ曲を練習し続けると音楽が「固定化」されてくるように思います。徹底して作り込むのではなく、いつも生き物を扱うように楽曲と心で対話する姿勢を持ち続けないと・・・。
さあ、今夜はバスのパート練習です。
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