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[28]取り組み方(2004/03/19 00:03:53)
今日は奈良の県立高校の入試合格発表です。
ここしばらくは春の暖かさを感じていましたのに、今日は季節が少しだけ逆戻り。肌寒い中の発表となりました。
喜びの歓声が湧き上がったと思えば、その中を一人静かに背中を丸めて帰っていく姿もあります。中には早速、「茶髪」の指導を受けた合格者もいました。カメラつき携帯で記念写真を撮る姿もたくさん見られました。出来ることなら、この喜びをこれからの3年間、忘れないでほしいものです。

私が合唱を始めたのは、ちょうどこの頃。高校の入学式の日でした。
中学ではバレーボールと陸上に明け暮れ、自称「スポーツ少年」だった私は、高校では陸上部に入る気持ちでいました。当時、母校は陸上競技の名門校だったのです。確かに音楽には興味がありましたし、夢は音楽家になることでしたが、進学した橿原高校のコーラス部は「女声」だったし、吹奏楽部も弱小のクラブだと聞いていたので、迷わず運動部!とはりきって入学式を迎えました。

入学式も終わりに近づき、閉式の辞のあと、「校歌紹介」というのがあって、「誰が歌うんだろう?」とステージに注目していたら、「演奏は本校コーラス部です」と・・・。
で、登場したのは女声40名ほどの合唱団・・・あれれ?男がおるやないの。混声・・・?
そのあとは見事な?「斉唱」を聞かせてくれたのですが。
式が終わり昇降口を出ると、コーラス部の先輩方の姿がありました。私は横のグランドでの陸上部の練習に釘付け状態だったのですが、なぜかコーラス部の怪しげな(?)男子の先輩をつかまえて、「あのー・・・入部したいんですが・・・」と入部宣言しちゃいました。なぜ・・・?

いまだに理由は分かりません。陸上部の練習をじっくり見学し、しっかり考えてから部活動の選択をすればよかったのに。バレーボール部という選択肢もあったのに、です。

今では「ラッキーな選択」と思える出来事ですが、あの混声斉唱合唱団が、もし、女声合唱だったら、今頃、シェンヌは存在しなかったのかも・・・と考えると、ちょっと、怖い・・・。

初めての練習で「山のいぶき」を練習しました。あのハモった感覚は今でも忘れていません。
以前にも書きましたが、夢があるとか、目的が具体的だと、仮に失敗したり辛くなったとしても諦めることなく頑張り続けることができます。
私は多くのものを犠牲にしてでも合唱の活動を優先できます。だから団員にも出席率のことや練習に対する姿勢について厳しさを求めることが多くなってしまいます。しかし、実際問題としてすべての団員がそのように活動を続けることができるか?答えはもちろん、否、です。

それぞれの団員にそれぞれの生活があり、仕事があり、ほかの趣味もあります。家族があったり、恋人がいたり、ほかにも大切にしなければならないものが、たくさんあるはずです。つまり多くの場合は「合唱がすべて」なんてことはないわけです。
私は自分の取り組み方に自信を持っていますから、他人にも厳しくなってしまいます。しかし、どんな人にも、ちょっと気持ちが違うところに向いている場合があることを、理解したいと常々思っています。私の知る限り、この22年間、変わらずシェンヌのことを想い続けてくれたメンバーはいません。誰にだって気持ちが逸れてしまうことがあるんです。これは当たり前のこと。歌うことが辛いことだってきっとあるんだから。

辛いときや、しんどいときは、誰かがカバーすればいい。
弱音を吐いても許される雰囲気、それを受け止めることの出来る暖かさが欲しい。
でも、だから求めます。頑張れるときには頑張って欲しい、と。

誰一人、合唱のために生きてなんていないんだから。
ただ生きる喜びを感じ取りたくて、歌を歌うんですから・・・。


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