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[55]演奏すること(2006/01/27 17:18:45)
今年最初のステージは高校生の音楽会でのゲスト演奏。
2年前にも一度お招きいただいて演奏しました。
最近でこそウチの演奏会で高校生の姿を見かけるようになりましたが、それでもコンクール、合唱祭などで中高生がわれわれの演奏を耳にする機会はほとんどないわけで。
「中高生だけを対象にした演奏会ってのは、どう?」って提案したことがあったけど、
「もともと来ない層をターゲットにしても、結局ガラガラでしょ?」ってもっともなこと言われたな、たしか。
「認知度が低いのも事実だけど、結局中身じゃないのかなあ」
いやあ、そうだよね。確かにそうだ。

5月の定期の演奏会の選曲は何とか年を越さずに決めることができましたが、
「うちのばーちゃんが聞いても楽しめる(解る)選曲もしてほしい」との希望にどのように応えようか悩みました。「水のいのち」や「大地讃頌」ですら知らない人は、それを知っている人の何倍もいるわけで、自らチケットを手に入れて、遠くからでも聴きに来てくださる合唱好きの方で客席の半分も埋まるような合唱団ではない私たちは、それではいったいどのような「聴き手」をイメージして演奏会を開くんだろうか?

コンクールでは「自分たちらしい」得意な曲を選曲することができます。もちろんさまざまなコンクール評や感想を見ると「パフォーマンスとしての演奏」とか「現代曲に偏りすぎ」というような意見も多くあるわけで、一概に何を歌ってもいいってことはないのかもしれないですが、それでも少なくとも「誰にでも楽しめる」選曲をする必要はないのです。

しかし家族総出は当たり前、知人には頭を下げて「今度おごるから」とか言って、半分強引に、時には脅しもしながら「客席を埋める」ことに必死にならなければならない「演奏会」で、ごく少数のマニア(響きが悪いですが・・・)の方だけが喜ぶような選曲をしていたら、そりゃ苦痛ですよね。
そういえばテナーのO君のお父上が初めての演奏会に山奥から出てこられて、2時間の演奏を聞き終えたあとに、「おれは二度と来ない!」と吐き捨てて帰られた、ということがあったなあ。同じような曲が続いたように感じて辛かったようです。

こちらはステージで渾身の思いで演奏して、時には感極まってウルウルしてるときだってあるのに、客席では「早く終われ!」なんて思ってるんだとしたら・・・。

・・で、結局自分の中ではまだ悩んでいるわけで。
でも、どのような考え方にしても「自己満足」にだけはなっちゃいかんのはもちろんだけれど、演奏会で「何を歌うか」を考える以前に「なぜ歌うか」をもっと真剣に考えなければ演奏会そのものの意義が薄らいでしまう。

高校生の前で演奏できるチャンス。ぜひ活かしたいと思います。



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