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[72]第60回全日本合唱コンクール1(2007/11/27 00:12:06)
歌いだすことで、むしろ安心できた去年の熊本県立劇場。
今年は、歌いだした瞬間に凍りつきました。
だって、全く、きこえない・・・。
出だしのテナーは順調な滑り出し。アルト、ソプラノも落ち着いて入ってきた。
いつもは次にバスにキューを出すのを、この日は「忘れた」。
そこに在るべきバスの「Va〜lde」ってーのが、な、ない!
「今年は終わった・・・」そう思って目を移したベース諸君の顔にも同じことが書いてある。
いつもなら、だんだん耳が慣れてくる頃になっても聴こえない状態は続いていて、でも必死に「客席には届いているから」って自分に言い聞かせていると、
練習では起きる気配すらなかったテナーの事故。
その後は一人ひとりが自分と戦い続けた。汗が吹き出た。
しかし演奏後に、動揺はやはり隠し切れず、客席の拍手もまばらに聞こえ、写真撮影に向かうロビーでは「気の毒で声もかけられない」って空気に包まれてしまったような、その場から逃げ出したくなる居心地の悪さ。
直前のリハーサルでの通しは手ごたえ十分だっただけに、調整ミスを悔やんだ。
演奏の納得、という我々の最低の基準すら守れなかったという意味では、いくらコンクールの審査結果がよかったとしても今回の演奏を手放しに喜ぶわけにはいかないのです。
どんなホールでもすぐに対応できる、と過信していたのかもしれない。
「今回は賞にこだわらずに、ブラームス歌わせてね」って無理を通して歌ってみたものの、まだまだ力が及ばなかったのかも知れない。
ところが・・・
当日の録音を聴いて驚いた。
確かに演奏上のキズは確認できるが、イメージ通りの音が鳴り、意図した音楽がそこにある!ステージ上では、まるで見えないものを掴もうとしているような苦しさがあったのだが、イメージする音を引き出そうとして振った棒に、彼らが確実に応えてくれている。練習で繰り返し求めた響き、我々の求める音楽がそこに展開されている!
「練習で叩き込まれて身体が自然に反応した」といった類のものではなく、それはまさしく本番のステージのみで発揮しうる「生きた音楽」だと思う。
演奏中ではなく、録音を聴いてその「演奏の納得」が得られることもあるんだ・・・な。
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